第16回関節ファシリテーション学会学術大会
大会長 山中 綾子
平成27年9月20日・21日の両日、第16回関節ファシリテーション学会学術大会が北海道札幌市にある札幌サンプラザにて開催されました。シルバーウィークと呼ばれる大型連休のさなか、遠く北海道での開催であったにも関わらず全国各地より298名のご参加をいただきましたことは、会員皆様の熱意と関係者のご尽力のおかげであると改めて感謝申し上げます。
運動を治療として応用する技術を使うPT・OTにとってKinesiologyはその基本となる学問です。しかし、Kinesiologyの歴史的発展と体系づけられた現在の形を知らない、またその内容を理解することもないままで、目に新しく安易に身につくと思われる技術を次々に習得しようと終始するPT・OTも少なくありません。有能な人材が右往左往することなく、正しい学問を学び知識を得ることにより、技術への理解も深まり研鑽も進んでいくことを分かっていただき、それを通して専門職としてのPT・OTを再認識していただく機会にしたいと考え、テーマを「KINESIOLOGYとPT・OT」としました。終了後、テーマに即した充実したまとまりのある内容であったというお言葉を数多くいただきました。
一日目、大会長講演「SJFとわたし」では、自分自身の理学療法士としてのこれまでを振り返り、職業としてのPT・OTを見直すことから基礎となる学問のKinesiologyに繋がるようにお話をさせていただきました。
演題発表では、合計7題の発表をいただきました。基礎研究・臨床研究と幅広い内容に、次への課題を見出す指標となり今後の臨床・研究の取り組みへの変化を与えられたと感じております。
特別講演では、小笠原俊一先生に「医師がPT・OTに求めること」として、医学部の教育制度の変化と今後の展望をご紹介いただく中で、医療全般の問題と合わせてたいへん広い視点から医療者に求められることをご講演いただきました。
二日目のシンポジウム「KINESIOLOGYとPT・OT」では、吉野晴久先生「KINESIOLOGYと物理学」、藤原直人先生に「KINESIOLOGYとPT」、大和勇貴先生に「KINESIOLOGYとOT」をご講演いただき、Kinesiologyの理解を深め、実際の臨床場面でどのようにその知識と技術を応用されているかを示していただきました。会場の皆様とともに今後の進むべき道について具体的に考えることができ、実に内容の濃いシンポジウムになりました。
基調講演は、宇都宮初夫理事長が「運動科学と治療的運動・運動性OT」と題され、運動科学の分類について曖昧であった部分を明確に定義づけしてくださり、学問とその臨床応用について職種ごとにその手順をもお話いただきました。自分には何が不足しているかはっきりと見えてきて、明日から何を勉強すればよいかということまでも示唆されたと感じています。
16回目の本学術大会が「真の理学療士・真の作業療法士として」という関節ファシリテーション学会の真のテーマに向かう道しるべの一つとなったことを確信して、今後も精進を重ねていきたいと思います。最後になりましたが、学術大会準備期間からご支援を賜りました関係各位に心よりお礼を申し上げて学術大会終了後のご挨拶とさせていただきます。