No.7
No.6のPT・OTの治療目的は症候です。したがって、PT・OTの治療は対症(候)療法となります。
症候の直接の原因を治療する場合、原因治療と言います。医学の中では原因治療が可能な疾患は数少ないのが現状です。
PT・OTが適応となる症候は、一人の患者に重複して現れることは臨床ではほとんどではないでしょうか。そうなると飛行機の両翼のように、一人の患者にPT・OTの両方の治療が必要ということになります。
さらに、PT・OTに適応のある症候を分科(例えば、内科、外科のように臓器別)や疾患別(例えば、中枢神経系障害)にはできません。
No.6
PT・OTの治療目的をすべて並べてみると、以下のようになります。
ROM(運動の範囲)〜PT
筋張力(筋繊維TypeⅡx)〜PT
筋持久性(筋繊維TypeⅠ)〜運動性OT
協調性(神経系:単に失調症のことではない)〜運動性OT
生理的機能(心臓・肺)〜PT・計測性OT
痛み(自律神経系)〜PT
浮腫(局所循環)〜PT
精神的な低緊張状態(Motivation)〜緊張性OT
感覚(末梢神経)〜OT
認知(神経系)〜OT
※「〜PT・OT」はより適応のある治療として記入しました。
以上のいずれもが、内科の薬や外科の手術での適応ではない、またはこれらの手段の前に物理的な手段(PT・OT)が適応となります。これらの一つでも欠ければ、動作を意図した時、その後スムーズに意識せず(無意図的)に遂行できません。
No.5
PTの治療的運動(Therapeutic exercise:運動療法)・物理療法(Physical agents)
が治療目的です。
OTの治療目的は、以下のようにSidney Licht M.Dの文献から分類されています。
運動性作業療法(kinetic OT)
計測性作業療法(Metric OT)
緊張性作業療法(Tonic OT)
精神科作業療法(Psychiatric OT)
診断的作業療法(Diagnostic OT)
これに以下を加えます。
感覚再教育
認知再教育
治療内容については、少しずつ投稿します。
No.4
治療的運動とは:(by Kottke)
運動器(神経・筋・関節)および運動に関する呼吸・循環器系の機能を回復するために処方された身体の運動をいう。これには、骨運動bone movement(目で見える四肢や体幹の動き)のみではなく副運動accessary movementである関節の遊びjoint playと関節内運動component movementまでも含みます。
治療的運動の目的:
1)ROM:Range of motion「運動の範囲」の維持・増大
2)Muscle strength「筋張力」の維持・増大
3)Muscular endurance「筋持久性」の維持・増大
4)Co-ordination「協調性」の維持・増大
5)General condition「(生理的な)全身状態(機能)」の維持・増大
これらの目的に適する運動を治療として使用します。
例えば、PTの治療として日本で治療的運動(運動療法)と物理療法(疼痛・浮腫の改善)分に類されていますが、痛みの改善を治療目的に「徒手を手段」とした場合は物理療法となります。
No.3
物理医学とは:
物理的手段(PT・OT)によるDisease(疾病)のDiagnosis(診断)とTreatment(治療)です。〜医学的生体物理学の応用Applied Medical Biophysics〜
使用する物理的手段とは、Therapeutic exercise(治療的運動)、Heat(熱)、Water(水)、Electricity(電気)、Sound(音)、Mechanical force(機械的な力)、Massage(マッサージ)を含みます。
これらの手段は、治療目的に応じた医学的に特別な物理的手段が選択されるものです。
PTにおけるMassageは、循環の改善(リンパ浮腫・静脈性浮腫)を目的に行われるものです。医業類似行為としてのマッサージ師の行うものとは目的が異なります。
治療的運動とは、日本では「運動療法」と訳されていますが、ただ身体全体を使用して運動をさせることを想起させますが、実際の英語を訳すると「治療的運動」です。
No.2
治療とは:
何らかの原因によって、身体の器官(臓器)がその機能を失うことで、その器官に特有の症候が顕在化します。その原因や症候に対して、何らかの治療を行い、元の機能を取り戻すことです。治療の対象は器官です。
PT・OTの主な治療器官は運動器(神経・筋・関節)となります。
ROM Exerciseは運動の範囲(可動域)運動という治療方法になります。
訓練とは:
患者自身が、動作を自立して実用的(安全性・安定性・耐久性・速さ・社会的容認・余裕)に行えるために全身を使用して繰り返し行うことを言います。PT・OTは実用的な動作となるよう適切な介助を行います。
患者自身が行うことを基本的動作訓練・応用的動作訓練といい、PT・OTが行う介助は基本的動作介助法・応用的動作介助法と言います。
訓練は一般的な意味として、避難訓練を考えてみるといいでしょう。これは誰のため、何のためにするのかの答えを当てはめれば、動作訓練はまさにその通りの内容です。
No.1
本来、PT・OTはPhysical Medicine(物理医学:PM)の2分野の治療手段です。内科の「薬」、外科の「手術」と同様に、これらの治療では治らない器官(Organ:臓器)、症候に対してKinesiology(運動科学)を専門学問として、Physiatrist(物理医学専門医)が「診断」と「治療:PT・OT」を行います。
その治療の部分だけ担う身分法を制定して、Physical Therapist・Occupational Therapistとなりました。
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