2016年
7月
18日
月
リハビリテーション:WHOの定義に基づいて
具体例として
・医学的リハビリテーション
内科:糖尿病で血糖値のコントロールができない場合:自己注射の患者自身の習得指導の実施
外科:経口摂取が困難な場合:胃瘻造設の手術による栄養補給を可能にする
物理医学科(PT・OT):治療と動作介助法による実用的な動作の獲得 などなど
・職業的リハビリテーション
職業訓練所、障害者雇用に関する法律の制定等
・教育的リハビリテーション
特別支援学校やその支援サービス等
・社会的リハビリテーション
福祉機器の助成、障害者の人権等
このように多岐にわたる医療から人権に至るその個人の人生やその価値、環境全てを含む内容となり、その個人が身体的、精神的、かつまた社会的に最も適した機能水準の達成を可能とすることによって、各個人がみずからの人生を変革していくための手段を提供していくことをめざし、かつ時間を限定したプロセスである。国際障害者世界行動計画による定義 1982年
2016年
7月
14日
木
リハビリテーションは国連において、以下の4つの分野に分けられ、それぞれ専門機関での会議が行われています。しかし、その分野が単独ではなく必要と思われる全てが関与します。
また、「永続的」に機能障害が残存・進行・退行する場合に「期間を限定して」その個人が社会へ復帰できるための多方面からのアプローチの体系です。
・医学的リハビリテーション
・職業的リハビリテーション
・教育的リハビリテーション
・社会的リハビリテーション
この中でPT・OTは医学的リハビリテーションの一部に関わります。
医学的リハビリテーションの「期間」は、発症から退院までになります。
リハビリテーションという用語は、例えば、以下のようにも使用されます。
・地動説を唱えたガリレオガリレイの1992年の「名誉回復」
・受刑者の「更生」
・親とはぐれた野生動物を森へ返すこと
ただし、PT・OTの医学的リハビリテーションはWHOの定義を基にします。
リハビリテーション医学は、全障害のうち、一部の障害に限定した範疇を対象としています。
例えば、精神障害や視覚、聴覚などの障害は含みません。
しかし、社会復帰を推進する場合、すべての障害や生活環境、経済などの問題を限定することはできません。限定すれば、リハビリテーションの求める、その個人にとって最高の機能水準を得ることはできません。
2016年
7月
06日
水
下記の法律をよく読んでみると、障害のあるものは一時的(治る)でも永続的(治らない)であるとは問わないことがわかります。
また、法律の目的は医療の普及と向上です。
リハビリテーションは、「永続的な障害のある場合」の社会復帰のための体系(システム)です。
したがって概ね、PT・OTが行うべきことは、法律の目的である医療の向上としての一時的な障害のための治療となります。
理学療法・作業療法士法
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、理学療法士及び作業療法士の資格を定めるとともに、その業務が、適正に運用されるように規律し、もつて医療の普及及び向上に寄与することを目的とする。
※ただし、ここにいう身体に障害のある者の範囲は、身体障害者福祉法にいう身体障害者の範囲よりも広く、およそ永続的であると一時的であるとを問わず傷病ないしは先天的な異常によって身体の諸機能(精神機能を除く)に何らかの障害を現に有する者は全てこれに含まれる。
2016年
7月
02日
土
日本の法律 理学療法士・作業療法士法
理学療法について
「身体障害のある者に対して主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行わせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。」と定義している。
つまり、理学療法とは、
(A)その対象となる者は、身体に障害がある者であり、
(B)その主な目的は、対象となる者の基本的動作能力の回復を図ることであり、
(C)そのために用いられる手段は、対象となる者に治療体操その他の運動を行わせること及び対象となる者に電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えること
この対象、目的および手段の3点においてこの定義に当てはまらない行為は理学療法とはいえない。
たとえば、身体に障害のない者に対して行われるマッサージであるとか、身体に障害のある者
に対し、その基本的動作能力の回復を図るために行われる手術や投薬などの診療行為は、いず
れも理学療法には属さない。
ただし、ここにいう身体に障害のある者の範囲は、身体障害者福祉法にいう身体障害者の範囲よりも広く、およそ永続的であると一時的であるとを問わず傷病ないしは先天的な異常によって身体の諸機能(精神機能を除く)に何らかの障害を現に有する者は全てこれに含まれる。
ただ、理学療法の主な目的が、失われている基本的動作能力の回復を図ることにあるために、理学療法の対象となる身体に障害のある者の範囲は、おおむね基本的動作能力に障害のある者だけにおのずから限定されることとなる。
2016年
6月
30日
木
ここまで、治療医学の中の物理医学(PT・OT)について記載してきました。
実際には、関連の薄い「リハビリテーション」について、区別できるように記載してきませんでした。
ただ、これから法律を基に日本のPT・OTについて記す時には、やはり避けては通れません。
まずは、「リハビリテーション」についてWHOの定義を基に記載を始めます。
医学の話をする時には、使用される言語を定義通り使用し、福祉や一般の方に話す時には分かりやすい言葉を選択することは必要です。ただし、同じ次元ではないところで曖昧に使用することは避けなければなりません。そのようなことがないようにします。
2016年
6月
29日
水
No.22
OTの治療(例として)
計測性作業療法として
全身生理的機能、心肺機能の改善:
ベッド臥床→全身の生理的機能・心身機能の低下
測定:脈拍数、呼吸回数、体温、血圧、全身疲労のような指標を測定。
OT治療:
患者の適切な仕事量を設定し、適切な作業活動を行わせ、徐々に仕事量・負荷を増大する。
上記を測定しながら治療する。
効果:仕事量の限界である仕事許容量の増大し、ベッドに座り続けることができる。
結果的に車椅子での移動が可能になる。
2016年
6月
28日
火
OTの治療(例として)
緊張性作業療法として
心身の緊張(Tone)の改善:
病気という状態になると、ベッド臥床による活動性の低下→
精神的な適正な緊張度、いわゆるMotivationの低下や
身体の適度な筋緊張の保持が難しくなります。→
OT治療:
興味関心のある作業活動(Activity)を選択し、心身に刺激が加わることで活動をするために必要な心身の緊張度を高めます。→
効果:
これが改善することで、PT・OTの治療でしか良くならない症候に対して次の治療手段を行いやすくなります。
2016年
6月
21日
火
OTの治療(例として)
運動性作業療法として
持久性の改善:
撓骨遠位端骨折後(ギプス固定、装具固定4週間後)→
シャワー操作ができない→
動作分析によって決定された結果
長短撓側手根伸筋の持久性の低下→
最大筋力の30〜40%の負荷のかかるような作業の選択→
(患者の興味関心や実生活での経験から選択)
長短撓側手根伸筋の負荷量の算出→
(詳細はSJF学会学術大会 札幌大会のシンポジュウムを参照)
選択作業の作業分析と特徴の治療目的の適合性→
実際の負荷量での選択作業の反復操作による治療→
設定された疲労の判定と効果判定基準の達成→
1回40分の治療を5回(2週間)→シャワー操作可能にて終了。
2016年
6月
19日
日
日本のPT・OT法では「医師の指示」によるとあります。
内科医が治療手段として薬剤を薬局から出される時に記載されるものは処方箋です。
内容は詳細に専門的な知識のもとに出されます。
日本には、PT・OTを治療手段とする物理医学専門医が制度としてないために、
専門性の必要な処方箋を出すことが困難なために指示に留まっています。
物理医学専門医から処方された場合は、その治療目的に適応する技術によって治療できれば良い
のですが、指示箋では、測定検査から治療手段までもTherapistに任されることになります。
指示箋:
患者の姓名と年齢、診断名、治療目的・部位・注意事項など大まかな治療に対する記載
依頼箋:
他科に依頼する場合に使用されるもの
処方箋:
患者の姓名と年齢、診断名、治療部位・時間・回数、治療手段と注意事項、治療の期限、
医師の署名(捺印)などの記載
2016年
6月
17日
金
現在の治療的運動の問題点
①理論の基礎が生理学である。
→生物学を基礎にする。麻痺筋への負荷は疲労しやすく、過剰であれば弱化を招く。
②関節内運動を無視している。
→目に見える骨運動が起こる時、関節内の凹凸の法則によって起こる関節内運動は必ず起こる。
③軟部組織を伸張(強制他動伸張Stretch)している。
→治療前後での可動域に変化は少なく、繰り返すことで筋の微細な断裂によって瘢痕化する。
④運動の回数が多すぎる。
→疲労を無視して痛みを招いたり、筋の強さの低下を招いたりする。
⑤筋力について:筋力は筋の強さ(張力:Strength)のこと
筋の強さと筋の力(Force・Power)を混合している。
→負荷量や刺激の与え方の違い、それぞれの関係性について知らなければならない。
⑥持久性(Endurance)に対する関心が薄い。
→筋の強さが強くなれば持久性も強くなることはなく、活動を行う上で持久性は必須である。
⑦痛みを治療対象にしている。
→痛みは、何らかの心身の異常を知らせるサインである。
これ自体をなくすことは生命の危機を招く。
痛みの原因を治療する必要がある。
2016年
6月
16日
木
法律と定義
用語の整理を続けてきました。用語は定義通りに使用しなければなりません。
なぜ「定義」が必要なのか:
言葉の定義をしなければ、医学という学問を基礎に疾病の診断・治療・予防の方法を開発することはできません。
例えば、No.16に記載した基本的動作と基本動作は「的」がないだけですが、意味するところは違います。あいまいにして互いに情報交換しているとすれば、大きな間違いが生じます。
法律も同様です。
No.15で免許の意味について記載しました。この免許は法律によって定義されています。
PT・OTは法律と定義によって、専門性と治療技術による誤用・過用などによるリスクを避けるべく、その職域は限定されています。
2016年
6月
14日
火
用語の整理3です。
動作:Performance
運動の集合が動作であり、動作に目的が含まれない。
①基本的動作:寝返り、座位、立位、歩行、その他移動動作。
目的はなく、応用的動作の目的達成のために使用される動作群。
②応用的動作:整容動作、食事動作、更衣動作、トイレ動作、入浴動作、書字動作
日常生活活動(ADL:Activities of Daily Living)と同じ意味である。
一人の人間が独立して生活するために行う基本的な、しかも各人ともに共通に毎日繰り返され
る一連の身体動作群。
(=Self-care:身の回り動作・基本動作)
2016年
6月
13日
月
免許の意味
PT・OTの養成校を卒業後、国家試験に合格してPhysical therapist・Occupational therapyの免許を与えられます。
免許制度が必要な理由:
その行為に対して知識・実技を身につけて一定の合格点が得られなければ危害を及ぼす恐れのあるものとして、行為を「限定」して許可するというものです。
(法学上では、一般に禁止・制限されている行為を行政機関が特定の人に対して許すことや、特定の人に権利を定めて地位を与えることである。講学上の概念としては、許可と特許の双方を含む。)
例えば、自動車の免許は、関わる法律や道路交通標識などの知識と運転技能に対して試験に合格した場合に与えられます。また、運転できる種類が決められており、スピード違反などの定められた法律に違反すれば罰せられます。
したがって、PT・OTにおいても法律に定められている行為以外は、PT・OTとは言えません。
それは、法律で定められたPT・OTの「対象」「目的」「手段」の3点を満たさなければなりません。
2016年
6月
11日
土
治療医学では使用されない用語:
評価:Evaluation
性質(quality)、重要性(significance)、量(amount)、程度(degree)、状態(condition)など
その価値(worth)に関して試験及び判断すること。
リハビリテーション(社会復帰)においては、評価が必要になります。
永続的な障害が個々の患者にとって、どのような意味があるのかを判断し、
社会復帰の条件を決定します。
そのためには患者を取り巻く社会背景や個人の価値観を含む情報や医学的、社会的、教育的、
職業的な支援が必要なため、PT・OTのみではできません。
2016年
6月
10日
金
用語の整理2です。
臨床での治療目的や対象器官を決定するために使用される用語は以下の通りです。
測定:Measurement
ある量の大きさを装置・機械を用い、ある単位を基準として直接測ること。
また、理論を媒体として間接的に決定すること。
正常か否かを明確にし、問題点の抽出を行い過程。
(血圧測定、脈拍測定、長さ測定、ROM測定、筋力測定、周径測定など)
検査:Test・Examination
測定から得られた結果が正常ではないとき、その原因を明らかにする過程。
診断:Diagnosis
医療では上記の結果、医師によって診断名が決定される。
診断は部位と病理的変化によって決定される。
2016年
6月
09日
木
用語の整理1です。
メモ:Memo
測定数値の記載。
記録:Record
問題点の抽出および治療内容、変化・反応を記録。
報告:Report
統合と解釈のために簡潔に述べたもの。
例えば、学生の臨床実習では、学生は見学実施したことを、忘れないように「メモ」し、その日1日の事を、問題点やその解釈の重要な順にデイリーノートに「記録」する。
最後に臨床実習のまとめとして、臨床実習期間で学んだ内容を「記録」をもとに統合し、A4用紙1枚程度にまとめて「報告」する。
例えば、患者のケース検討や転院の時の添書も同様です。
測定数値等から治療目的を抽出しメモします。
それをもとに日々の治療前後での変化が効果として言えるか、また効果と言えない場合、他の原因に対する治療をどのように展開し、現在に至ったのかをカルテに記録します。
これらを統合し、必要な事項のみを簡潔に報告します。
2016年
6月
08日
水
健康とは:
病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)
(Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. )
国民の生存権を保障するために健康に対する社会的な取り組みがなされています。
基本となるのは、各個人が自らの健康に責任を待つことが重要なことは言うまでもありません。
Disease(疾病:安寧ではない状態):
病気(Illness/Sickness)を含むが、ホメオステーシス(homeostasis)が障害されている状態を広くさし、主観的症候(symptoms:客観的に測定できないもの)・客観的症候(signs)を有する状態をいう医学的な概念として定義された用語です。
医学:Medicine=Multi-disciplinary
生体の構造・機能および疾病を研究し、疾病の診断・治療・予防の方法を開発する学問。
医療:Medical care
医術で病気を治すこと・治療(医学の実践・応用)
医学(基礎医学・臨床医学など)に加え、社会学、哲学、倫理学、心理学などの学問が必要。
2016年
6月
07日
火
PT・OTの治療手段は、症候に対して行われます。その治療の原則は変わりません。
治療目的一つ一つを確実に治療できる技術があれば、いかなる疾患、人種、年齢、男女などに
関わらず、PT・OTに適応のある症候は治療が可能です。
例えば、筋力低下をきたした場合、MMT測定0(完全麻痺)〜1:筋収縮出現までは電気刺激、
1〜3:自重に打ち勝つ抵抗運動、3〜5(正常):自重+抵抗に打ち勝つ抵抗運動を行いま
す。
これは途中で回復が止まる場合も、どの領域の治療も同じです。
気を付けることとして、患者の疾患・人種・年齢・男女差などに特有な生理的・生物的な問題と
しての心身の状況について知る必要があります。
例えば、小児の発達や加齢に伴う心身の変化などです。
適応があれば上記を踏まえて、全ての患者を治療できなければなりません。
例えば、整形疾患の患者は受け入れるが、神経系障害の患者は受け入れないなどということはな
いはずです。
2016年
6月
06日
月
PT・OTの治療目的について投稿してきましたが、一人の患者に適応のある症候を見つけ、物理的手段(物理療法:Physical agentsのみではない)を応用し治療します。
その症候に対してPT・OTが同じ治療目的で、同時に行う治療は不必要です。
例えば、ある症候にAという薬が適応で投与した結果、効果がない場合、他の適応の考えられるBという薬を使用する。同時にAとBの薬を使うことは、効果の判定ができないばかりではなく、医療費の無駄にもなります。
また、治療とはある一定期間に効果がない場合(医学的には、おおよそ2週間)、他の治療を選択しなければなりません。
もっとも良い治療は、治療の前後で即座に効果が表れるものです。即座に効果が得られたということは、その治療対象である器官(Organ:臓器)に原因であったということが言えます。
2016年
6月
04日
土
No.8
治療的運動(Therapeutic exercise:運動療法・運動性OT)の治療の順番についてです。
以下は治療目的対象です。
1)ROM:Range of motion「運動の範囲」
2)Muscle strength「筋張力」
3)Muscular endurance「筋持久性」
4)Co-ordination「協調性」
5)General condition「(生理的な)全身状態(機能)」
基本的動作・応用的動作において協調的な運動を行うときに、不可欠な構造は関節の運動
です。
なぜならば、神経や筋、心臓や肺に問題がない場合でも、関節が固定されていれば運動は
起こりません。
そこから言えることは、1)ROMの治療が最優先だということです。
その後に筋のそれぞれの機能から考えると2)3)4)と治療を進めていき、運動を通じ
て5)を改善します。
上記の順番は、単に羅列しただけではなく、治療の順序ということです。
※「PTの基本的動作」と「基本動作」の意味は違います。
基本動作はADL(応用的動作)と同意語です。
2016年
6月
04日
土
No.7
No.6のPT・OTの治療目的は症候です。したがって、PT・OTの治療は対症(候)療法となります。
症候の直接の原因を治療する場合、原因治療と言います。医学の中では原因治療が可能な疾患は数少ないのが現状です。
PT・OTが適応となる症候は、一人の患者に重複して現れることは臨床ではほとんどではないでしょうか。そうなると飛行機の両翼のように、一人の患者にPT・OTの両方の治療が必要ということになります。
さらに、PT・OTに適応のある症候を分科(例えば、内科、外科のように臓器別)や疾患別(例えば、中枢神経系障害)にはできません。
No.6
PT・OTの治療目的をすべて並べてみると、以下のようになります。
ROM(運動の範囲)〜PT
筋張力(筋繊維TypeⅡx)〜PT
筋持久性(筋繊維TypeⅠ)〜運動性OT
協調性(神経系:単に失調症のことではない)〜運動性OT
生理的機能(心臓・肺)〜PT・計測性OT
痛み(自律神経系)〜PT
浮腫(局所循環)〜PT
精神的な低緊張状態(Motivation)〜緊張性OT
感覚(末梢神経)〜OT
認知(神経系)〜OT
※「〜PT・OT」はより適応のある治療として記入しました。
以上のいずれもが、内科の薬や外科の手術での適応ではない、またはこれらの手段の前に物理的な手段(PT・OT)が適応となります。これらの一つでも欠ければ、動作を意図した時、その後スムーズに意識せず(無意図的)に遂行できません。
No.5
PTの治療的運動(Therapeutic exercise:運動療法)・物理療法(Physical agents)
が治療目的です。
OTの治療目的は、以下のようにSidney Licht M.Dの文献から分類されています。
運動性作業療法(kinetic OT)
計測性作業療法(Metric OT)
緊張性作業療法(Tonic OT)
精神科作業療法(Psychiatric OT)
診断的作業療法(Diagnostic OT)
これに以下を加えます。
感覚再教育
認知再教育
治療内容については、少しずつ投稿します。
No.4
治療的運動とは:(by Kottke)
運動器(神経・筋・関節)および運動に関する呼吸・循環器系の機能を回復するために処方された身体の運動をいう。これには、骨運動bone movement(目で見える四肢や体幹の動き)のみではなく副運動accessary movementである関節の遊びjoint playと関節内運動component movementまでも含みます。
治療的運動の目的:
1)ROM:Range of motion「運動の範囲」の維持・増大
2)Muscle strength「筋張力」の維持・増大
3)Muscular endurance「筋持久性」の維持・増大
4)Co-ordination「協調性」の維持・増大
5)General condition「(生理的な)全身状態(機能)」の維持・増大
これらの目的に適する運動を治療として使用します。
例えば、PTの治療として日本で治療的運動(運動療法)と物理療法(疼痛・浮腫の改善)分に類されていますが、痛みの改善を治療目的に「徒手を手段」とした場合は物理療法となります。
No.3
物理医学とは:
物理的手段(PT・OT)によるDisease(疾病)のDiagnosis(診断)とTreatment(治療)です。〜医学的生体物理学の応用Applied Medical Biophysics〜
使用する物理的手段とは、Therapeutic exercise(治療的運動)、Heat(熱)、Water(水)、Electricity(電気)、Sound(音)、Mechanical force(機械的な力)、Massage(マッサージ)を含みます。
これらの手段は、治療目的に応じた医学的に特別な物理的手段が選択されるものです。
PTにおけるMassageは、循環の改善(リンパ浮腫・静脈性浮腫)を目的に行われるものです。医業類似行為としてのマッサージ師の行うものとは目的が異なります。
治療的運動とは、日本では「運動療法」と訳されていますが、ただ身体全体を使用して運動をさせることを想起させますが、実際の英語を訳すると「治療的運動」です。
No.2
治療とは:
何らかの原因によって、身体の器官(臓器)がその機能を失うことで、その器官に特有の症候が顕在化します。その原因や症候に対して、何らかの治療を行い、元の機能を取り戻すことです。治療の対象は器官です。
PT・OTの主な治療器官は運動器(神経・筋・関節)となります。
ROM Exerciseは運動の範囲(可動域)運動という治療方法になります。
訓練とは:
患者自身が、動作を自立して実用的(安全性・安定性・耐久性・速さ・社会的容認・余裕)に行えるために全身を使用して繰り返し行うことを言います。PT・OTは実用的な動作となるよう適切な介助を行います。
患者自身が行うことを基本的動作訓練・応用的動作訓練といい、PT・OTが行う介助は基本的動作介助法・応用的動作介助法と言います。
訓練は一般的な意味として、避難訓練を考えてみるといいでしょう。これは誰のため、何のためにするのかの答えを当てはめれば、動作訓練はまさにその通りの内容です。
No.1
本来、PT・OTはPhysical Medicine(物理医学:PM)の2分野の治療手段です。内科の「薬」、外科の「手術」と同様に、これらの治療では治らない器官(Organ:臓器)、症候に対してKinesiology(運動科学)を専門学問として、Physiatrist(物理医学専門医)が「診断」と「治療:PT・OT」を行います。
その治療の部分だけ担う身分法を制定して、Physical Therapist・Occupational Therapistとなりました。